おそらく現在の好景気を維持したまま、インフレの低下基調が続き、FF金利を下げ続けることができれば、オフィスなどの一部セクターを除き、商業用不動産問題は霧散する。金利が下がれば投資機運の復活により不動産価格は上昇し、低金利によりローンの借換えもうまくいき、コスト低下により収益も上がるからだ。
しかし、景気後退による金利の急低下となれば、失業者の増加、オフィス需要の低下、空室率の上昇、商業用不動産価格の下落、担保割れ物件の増加、不動産の投げ売り、そしてさらなる不動産価格の下落と、負のスパイラルに陥る可能性がある。
トランプ次期大統領もまずはインフレ抑制につながる政策を実行し、FRBが金利を下げられる環境作りをすることを優先すべきではないか。減税、関税の引き上げ、移民の強制送還は、実行するにせよ、インフレ低下後が良いだろう。かじ取りを誤ると、高金利に耐えられなくなった商業用不動産や家計債務が火を噴き、招かざる景気後退に突入する。