結婚する時、相手に期待するのは何でしょうか?容姿は結婚するまでの話です。その後期待するのは二人三脚と成長、また家族の関係でしょう。セブンイレブンが3大コンビニチェーンの中で出遅れ感が出ている理由は私は経営陣にあるとみています。2社の激しい追い上げの中、新たな戦略が描けない上に百貨店事業売却でほんのわずかの売却代金をもらい、次にはスーパーマーケット事業などのリストラに手をかけており、得手ではないことをやらされている間にライバル社との差別化が出来ない状態なのです。とすれば私から見れば伊藤家と結婚する気持ちは持ちえないのです。
もう一つ、伊藤家は立派な資産をお持ちです。しかし、今回の買い物はいかにも無謀です。仮に海外ファンドを呼び込めたとしましょう。伊藤興業は担保に取られ、経営責任者としてうまくいかなければ最終的に伊藤氏は素っ裸にされるリスクが高いのです。海外ファンドはおいしそうなところを全部抜き、あぁうまかったと去って行きます。それでもいいのかな、というのが私が海外で切った張ったをやってきた中で思うところです。
そもそもセブンはなぜ買収提案をカナダ社からもらったのでしょうか?それはセブンの経営の脇が甘かった、そして事業価値が十分ではなかったことに尽きるのです。とすればその経営者がMBOというのは私からすればお門違いだと思います。伊藤氏の経営手腕はいまだ未知数であります。
パートナーを取り込めば物理的には伊藤家による買収は不可能ではないかもしれません。が、それはセブンのステークホールダーにとっても日本全体にとってもあまり喜ばしい判断ではないと思います。私ならライバル2社に絶好のチャンスがやってきたと考えてしまいます。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年11月25日の記事より転載させていただきました。