筆者は合法化に大いなる懸念を持つ方ですが、安楽死実現のキャンペーン組織「ディグニティー・イン・ダイイング」によると、英国に在住する人の84パーセントが末期症状の患者による安楽死の選択を支持していました。

ずいぶん高い支持率のように思えますが、皆さんはどう思われますか。

もし合法になれば、欧州ではスイス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ、スペインに続くことになります。

10月5日付のBBCの記事ではポーリーン・マクロードさんの話を紹介しています。

夫のイアンさんは難病を患い、昨年亡くなりました。病気のためにイアンさんは首がひどく痛み、話すことができなくなりました。食べ物のそしゃくや呼吸も困難な状態でした。薬の過剰摂取で死のうとしましたが、医療関係者が違法行為を犯したことになるのを避けるため、3週間食事の摂取を拒否して亡くなりました。イアンさんの人生の最期は満足のゆくものではありませんでした。ポーリーンさんは安楽死合法化に賛成しています。

特例中の特例を除いては、合法であってはいけないと筆者は思うのですが。

人間は自分の本音を言わないことがあります。家族からの圧力があったかないかを証明するのは難しいかもしれません。「重荷になりたくない」と死を選び、最期の最期まで「自分の選択です」という人が出ないでしょうか。

医療関係者で構成される、安楽死反対の組織「アワ・デューティ・オブ・ケア」によると、米オレゴン州の保健当局が出した調査(2020年)では、安楽死を希望した人の53%が「家族、友人、ケアをする人に負担をかけたくない」ことを理由に挙げていたそうです。

「安楽死を支持する人は84%」という先の調査結果もそうですが、誰にいつ、どのような質問の仕方で聞くかによって、数字はいろいろと変わりそうなのですが・・・。

「アワ・デューティー・オブ・ケア」のウェブサイトより、キャプチャー

Assisted dying(臨死介助・安楽死) 医療関係者が致死薬の提供など患者の死期を早める状況に関与する状況。Euthanasiaともいう。これはギリシア語の「良い」(eu)と「死」(thanatos )から派生し、「良い死」の意味に。分類は多様で、「自発的安楽死」、自発的要請を欠く「非自発的安楽死」、患者の意思に反する「反自発的安楽死」のほかに治療の差し替えや中止も。