安楽死法案、今回は可決されるか?

「安楽死」というと、皆さんはどんなイメージを持ちますか?

広辞苑によりますと、「助かる見込みのない病人を本人の希望に従って苦痛の少ない方法で人為的に死なせること」を指し、英国では「Assisteddying(助けを得ての死)」という言葉が使われています。患者の自発的な要求に応じて、医療関係者が患者への致死薬の提供に関与する状況を指します。

医療関係者が患者が自己投与する致死薬を提供する「Assistedsuicide」(自殺幇助)、あるいは医療関係者が投与する「Euthanasia」(安楽死)はこれに含まれます。ただ、いろいろな言葉の定義があって、線引きが難しい場合もあります。

英国全体で、後者の意味の安楽死は許可されていません。

イングランドとウェールズでは1961年自殺法の下、他者の自殺あるいは自殺未遂を奨励したり、支援したりすることは違法です。

北アイルランドでは1966年犯罪正義法の違反になります。

スコットランドでは自殺幇助を禁止する直接の法律はありませんが、1971年の薬事誤用法違反となるかもしれません。

ということで、英国では、安楽死が合法なスイスなどに行って最期を迎える例がこれまで報道されてきました。

2015年、安楽死を合法にする法案が下院に出されたのですが、このときは却下されてしまいました。

法律が変わる?

ところが、法律が変わる可能性が出てきました。

スコットランドでは成人の末期患者を対象とした安楽死法案が準備されています。

また、10月16日、イングランドでも労働党議員キム・レッドビーター氏が安楽死法案を議会に提出しました。議員らによる賛成か反対かの投票は、11月29日になります。

キア・スターマー首相は「個人的には安楽死を支持する」と述べており、労働党自体はこの法案に中立の立場を取るそうですので、400人を超える労働党議員らは自由に票を投じることになります。