前述したように、マリナキス氏はフォレストだけでなく複数のサッカークラブを保有している。マルチクラブオーナーシップと呼ばれるこのアプローチは今やサッカー界では当たり前になりつつある。

横浜F・マリノスが入っていることでも知られている、シティを頂点とするシティ・フットボール・グループ。最近、大宮アルディージャを買収したことで話題となったレッドブル・グループなどが有名だ。プレミアリーグでは他に、マンチェスター・ユナイテッド、ブライトン・アンド・ホーブ・アルビオン、ボーンマス、サウサンプトンなどのチームがこのアプローチをとっている。

このアプローチの利点は多岐にわたるが、重要なポイントの一つがスカウティングと選手育成だろう。世界中のクラブを保有することで、スカウト網が強化されるだけでなく、複数のレベルのクラブを保有することで選手育成も効果的に行うことができる。その一例がサウサンプトンに移籍したMF松木玖生だ。

サウサンプトンに移籍した松木は労働ビザの問題で1年間、トルコ1部ギョズテペにレンタルで出されることになった。このギョズテペがサウサンプトンのオーナーが保有するクラブである。松木については労働ビザの問題だったが、一定のレベルに達していないと判断された選手をレンタルに出すのは一般的なことだ。この時、情報を共有しやすい保有するクラブに貸し出すことで、選手を管理しやすく効率的に育成することができる。


ムリージョ 写真:Getty Images

ブラジルとの繋がり強化も

マリナキス氏はさらに新たなクラブの買収に動くようだ。『The Telegraph』によると、マリナキス氏はブラジルのヴァスコ・ダ・ガマとの交渉に既に入っているらしい。そして、このプロジェクトで重要な役割を担うだろうと予想されているのが、今月4日にアーセナルのスポーツディレクターを辞任したブラジル人エドゥ氏である。