サッカークラブのオーナーとしてのマリナキス氏は、よくも悪くも大胆に動くタイプのようだ。フォレストのオーナーになった2017年から現在まで、10人の監督がフォレストを率いてきた。しかし、2年以上続けて指揮を執った監督はスティーブン・クーパー監督、ただ1人。彼も、昨シーズン解任された。


モーガン・ギブス=ホワイト 写真:Getty Images

2022/23シーズンの超大型補強

また、マリナキス氏の大胆な補強も大きな話題を呼んだ。マリナキス氏がオーナーに就任した当時2部リーグに所属していたフォレストは約5年(2022/23シーズン)でプレミアリーグに昇格した。ちなみに、当時チーム内得点王だったのが、今はトッテナム・ホットスパーにいるFWブレナン・ジョンソンだ。

昇格したてのフォレストはいきなり、超大型補強を行う。現在は主力のMFモーガン・ギブス=ホワイトなどを含む20選手以上を2億ユーロ近くかけ獲得。この金額はその年、世界トップ3に入る規模だった。昇格したばかりのクラブが世界トップクラブ以上に、お金を使っていたわけである。

文字通り、全く別のチームになったフォレスト。同シーズンの結果は16位。ギリギリの残留だった。さらに翌2023/24シーズンも積極的に動き、FWアンソニー・エランガ、FWクリス・ウッドなどを獲得。結果は前述したように17位。またしても、苦い結果だった。さらに、フォレストは大胆過ぎる補強によって、プレミアリーグの収益性および持続可能性規則(PSR)に違反し4ポイントの剥奪を受けた。ルートン・タウンを始めとした昇格組が思った以上に苦戦していなければ、今年プレミアリーグにいたかはかなり怪しい。

今シーズンのフォレストの飛躍は、この大型補強によって加入した選手たちにまとまりが生まれ、新たに加入したMFエリオット・アンダーソンやDFアレックス・モレノなどが上手くはまったからというのもあるだろう。

松木玖生 写真:Getty Images

マルチクラブオーナーシップの利点