このお題、なかなか難問だと思います。国際刑事裁判所(ICC)は以前から手続きをしていたとされるネタニヤフ首相ら3名の逮捕状をを発行しました。よってネタニヤフ氏がICC加盟国に入国したら原則逮捕されることになります。そして現在ICCの所長は赤根智子氏。よって同氏の母国である日本に来たら日本はそれを実行するのが正義となるでしょう。一方、ネタニヤフ氏だけでなく、イスラエルを支援するアメリカからも猛反発の声が既に上がっています。ましてやあと2か月もすればネタニヤフ氏と最も親交が深い一人とされるトランプ氏が大統領に就任します。
もしも日本がネタニヤフ氏を逮捕しようとすればアメリカからすさまじい圧力が来るはずです。とてもじゃないですがそんなことをすれば日米関係が吹っ飛んでしまう勢いになるし、杉原千畝の作った日本とイスラエルの蜜月の歴史など一瞬で消されてしまうでしょう。イスラエルを敵に回せば日本は政治経済社会すべての面で国際社会で厳しい状況に陥るそんな仕打ちすらあってもおかしくないのです。そりゃ言い過ぎだろう、と思うでしょう。日本は世界に根を張った基盤がないのです。
同じく逮捕状が出ているプーチン氏がICC加盟国であるモンゴルを訪れた際、逮捕の気配は全くなく、むしろどうぞ安心してお越しください、というぐらいのものでした。つまりICCは理念と思想としての存在であり実行能力は疑問なのです。もちろん、小僧レベルの悪人なら捕まえるでしょう。ですが、国家の要人は捕まえられない、これが国際組織の実情なのです。正義と実情は恥ずかしいほどギャップがあり、「そうは言っても…」という話なのです。国連の機能不全という話も全く同様、G7やG20の共同声明もその延長です。理由は国際会議と地域連携が多すぎて一国で物事を決められない社会を我々自ら作り出したからです。トランプ氏はその真逆、simple is bestで「二国間協議主義」に戻したのはそこにあるともいえます。