APECとG20をこなした石破総理。その外交マナーに集中砲火で「恥ずかしいからもうやめて―」の悲鳴の声すら上がりそうでした。私が首相随行者だったら赤面です。ただ、秘書経験者として言わせていただければ随行者は普通、トップに囁くものです。トップと秘書は隠し事がなく何でも言える関係を作るのが最大のポイントなのです。座ったままの握手などはあり得ないし、国際会議でスマホをどうしても見なくてはいけない事態が起きることも理解できません。
1985年に「パワーランチ 昼食で勝つ交渉力」(メルビン ビンセル著)という本が出版され相当話題になりました。私も当時読ませていただいたのですが、目からうろこでした。それが役に立ちクライアントと食事をするときにはどうすれば自分の話を聞いてもらえるかを考える癖がつき、今では体に染み込んでいます。国際舞台での外交は「華やかさ」が重要になります。ファッションの話ではなく「あの人と話したい」と思われるオーラを持つという意味です。石破氏は実質外交デビューですからそれこそ「俺が石破だ」と印象付けをして回るのが重要です。そして相手のトップのサブについている人にも必ず好印象を持ってもらいます。理由はあとで必ず「君はイシバをどう思った?」と話し、そこで一定の第一印象評価が生まれてしまうからです。
石破氏は確か内気な性格で人付き合いが苦手ということを自分でもおっしゃっていたと思います。なら、なぜ首相になったのか、と伺いたいのです。首相ほどコミュニケーション力を求められる人はいないのです。どなたか評論家が「外務大臣経験もないのに首相になって大丈夫か?」と言っていましたが、心配の声は現実のものとなりました。私は100日間のハネムーンの間は何も申し上げませんが、内気な石破氏は今頃こう思っているでしょう。「トランプ氏との会談が実現しなくてよかった」と。また、今回の批判で外交に苦手意識を持った可能性はあります。私がいみじくもトランプ氏との会談は特使を出した方がよいと申し上げたのはそこまで読み込んだうえでの意見でありました。
もしもネタニヤフ首相が日本に来たら逮捕するか?