地方政府は給料も払えず、不動産市場は相変わらず低迷が続き、頼みの綱の輸出産業もアメリカ主導の関税政策が更に厳しくなれば、今後も落ち込みが続くだろう。

資本主義経済を共産主義がコントロール出来るはずなどない。ましてや、14億人の国民を抱える中国が、僅か数十名の共産党中央委員会でコントロールするなど、神様でもない限り不可能だ。そして決定的に不幸なのは、その中央委員会に誰一人、市場経済や資本主義経済の専門家がいないということだ。

権威主義に基づく全体主義国家において、資本主義経済を実現することが、何故、不可能かと言えば、自由が無いことだ。自由な経済活動を許さない限り、イノベーションも生まれず、競争原理が働かないので経済発展も無い。

少し考えれば分かることだが、中国共産党は、一党支配を維持する為には共産党支配を脅かす「集団」や「団体」が出来上がることが何より怖い。そして、経済力で中国共産党に影響を与える人々が出てくることが怖いのだ。その根幹が自由を押さえ込むことだ。

この共産党の政策は、理想的な社会主義の機構を生むことなく、経済の歯車が狂い始めると全てが狂い始める。中国国民はそれが分かっているから、何かの形で抗議行動を起こしている。そこには暴力も政府批判も無いのに、共産党はそうやって人民が集まることを恐れる。自分たちに跳ね返ることを恐れているのだ。

日本人と中国に進出している日本企業は、イザとなれば、中国から撤退すればいいと考えている。しかし、未だ10万人以上の在中邦人が、中国共産党の人質状態にあるという危機感が無さすぎる。そして、在中邦人は、中国への投資も出来ず、中国から撤退しようとすると共産党に出国停止されるリスクを負っている。この現実に対しての認識があまりに欠けている。

習近平体制は、最悪の場合、反政府勢力のクーデターを引き起こしかねない。以前のクーデターはアメリカが主導し、裏で手引きしていたが、今のアメリカにその力は無いし、国際社会から猛烈な反発を呼び込んでしまう。国内第一主義を掲げるトランプは、絶対にそんな冒険はしない。となると、中国国内の暴発が起きるきっかけは中国国内から発生することになる。そして、その先にあるのは無政府状態だ。