SNS上でもそうだが、消せば増えるのである。たった35年前の出来事だ。天安門事件のニュースは、当時、世界中を駆け巡った。今でも、6月4日が来れば、当時の映像がどこからともなく発掘され、歴史の事実として回顧される。
中国が内戦を経て文化大革命を行い、中国共産党支配の社会を作り上げた時、共産主義に基づく全体主義国家は夢のイデオロギーを掲げる国家としての理想形であり、全国民を幸福に導く政治体制であると、多くの人が信じる反面、それがいかに危険なことかは程なくして中国国民が骨身に染みて分かることになった。
それが文化大革命による信じられない人数の粛清であり、弾圧であり、思想統制だ。これが如何に恐ろしいことか、骨身に染みている世代が、かろうじて残っていた1989年、改革派胡耀邦の死に対する抗議行動をきっかけに、今をおいて民主化革命を行うことは出来ないと立ち上がった若者によって、デモに発展した。そして、血塗られた天安門事件が起きたのだ。
気力と体力を奪われた中国の若者今の中国はSNS社会においてさえ、中国共産党の徹底的な情報統制下に国民は置かれている。自由がない。中国共産党は人々の内心の自由さえ許さない。中国共産党にとって、理想的な政治イデオロギーである社会主義体制の否定は出来ない。否定してしまったら、自分たちの存在理由が無くなる。信じられないが、彼らは本気でそれを信じているのだ。そして、どこまでもその幻想の中に生きている。
日本のリベラル思想に傾倒した人々は、総じて社会主義的な、平等社会を理想として掲げる。その結果、地球上に唯一と言っていい社会主義体制が国家として成立しているかのように幻惑された中国を理想的な国の形と見ている。そして、中国共産党が進める国家資本主義を理想としているように見える。習近平サマが指導してきた国家資本主義の末路が、現在の中国だ。
中国国内の地方政府と中央政府の負債は、分かっているだけで、日本円で2,000兆円規模に上る。それはあくまで中国政府が発表している数字に過ぎない。シャドーバンクを含めるとどこまで膨らむか、多分、中国政府自身も分かっていない。