インフレ率がとっくに2%を超しているのに、いまだに日銀は動こうといません。起きているのは、国民に対するインフレ税の状態になっていることです。円安によって、名目GDPが上昇し、その分、税金がふえている。政府はそれを歓迎しています。税率を上げなくても、税が増収になからです。

政府債務残高の名目GDP比は、24年が251%、25年が248%の見込みです。財政赤字は改善したようにみえても、円安などによる物価上昇の結果です。物価上昇の負担は国民がかぶります。国民民主や他の野党はなぜ、「103万円の壁」などにこだわり、インフレ税という増税が行われていることに目を向けないのか。

今後はどうなるでしょうか。米国経済は再びインフレに向うでしょう。トランプという「政治的要因」からくる財政膨張、国際情勢の緊迫化、関税引き上げ、国防費の増加、グローバリゼーションの縮小など、物価を押し上げる要因が並んでいます。その影響を日本も受けるでしょう。

世界は国際情勢の緊迫化とともに物価高、インフレに向う。「経済どころではない時代」ですから、中央銀行が利上げしようにも、政治的な抵抗を受けることになります。日本は国内事情に合わせて金利政策を考えるという習性から抜け出せません。国際的な物価高の再燃は、日本の事情などお構いなしにやってくる。

編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2024年11月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。