その直前の19日には、プーチン政権が改定した「核抑止抑止力の国家政策指針」(核ドクトリン)は、核攻撃に踏み切る要件を緩和し、「ウクライナのような場合、核保有国の参加や支援を受けた場合、共同攻撃とみなす」などとしています。
そんな国際情勢の緊迫化の中で、2024年、英国、フランス、日本、米国などの多くの国で、政権党は敗北しました。欧州では、極右、極左を含む過激政党が台頭しています。トランプ政権が「アジアの問題はアジアで責任を持て」などといいだしかねず、そうしたら日本国内の政治論争も様変わりするに違いない。
台風の目になりかねないトランプ氏が、経済的にどこまでもつかを考えることはまた、別の話です。先の日銀OBは「現在、米国は株式市場を中心に、トランプ・ユーフォリア的な楽観論が高まっている。先行きについては、来年の夏には転機(曲がり角)に来ていると思う」との予想です。
トランプ氏の経済政策は拡張的な財政政策を進め、「インフレ、バブル、低金利」が基本になっています。それによって「景気の一段の加速と物価の大幅上昇、資産バブルの崩壊というリスクを抱え込む。そのうちに長期金利が上昇し、株価、商業用不動産価格バブルが崩壊する」というのです。
もっとも国内経済が悪化すると、対外的な強硬政策をどんどん打って行く。そうした可能性はあります。経済的な立場が弱くなればなるほど、さらに対外的に強くでてくるのでしょう。政治家は危機を好み、危機になると、権力を振るえるチャンスがきたと考える。
日本に目を向けると、金融政策について、いつ金利引き上げがあるのかが注目されています。今もって「物価上昇率が安定的に2%を持続」が目標になっています。私はもう、2%目標などは放棄すればいいと思います。そうなったところで、国民生活、経済が快適になるわけではない。各国の経済情勢、レベルがまちまちなのに、一律に2%という目標を持ち続ける意義が分かりません。