このpoorな教育方針のせいか、『WFB』の別記事は、最新の国勢調査で20年4月から23年7月までの間に約4万6000人が同州を離れたことを報じている。記事は、流出原因は明らかではないが、同州では増税、支出増加その他の進歩的な取り組み、そして暴力犯罪急増と学力低下があるとしている。
同記事はまた、米国税庁の移民データでも約4万1500人のミネソタ州民が、東隣のウィスコンシンやフロリダ、テキサス、ノースダコタなどに移住して税収50億ドルを失ったことや、共和党知事のテキサスやフロリダは低税率だが、ウォルズ知事は所得税、売上税、ガソリン税などを増税する一方、世帯収入8万ドル以下の学生の大学無償化などの進歩的なプログラムに資金を提供してきたことを報じている。
なるほどバイデンが右に思えるほどの急進左派振りで、カリフォルニア州などとも通底するが、だからこそハリスがウォルズと意気投合したのだろう。だが11月の勝敗の帰趨は、偏にウィスコンシン、ミシガン、ペンシルベニア、ジョージア、ノースカロライナ、アリゾナ、ネバダの接戦州7州のそれぞれの数万票を取れるか否かにかかっているからだ。つまり、全米単位の世論調査結果は意味がない。
日本では岩盤保守3割vs岩盤革新1割と言われるが、米国では共和党支持・民主党支持というより親トランプ4割vs反トランプ4割であって、残り2割の浮動票うちの接戦7州のそれがどちらに転ぶかで勝敗が決まる。つまり、トランプ以外の配役がハリスであるかウォルズであるかヴァンスであるかは、接戦7州の2割の浮動票にどう影響するかのみがポイントとなる。
その意味では、ハリス陣営はウォルズの進歩主義への批判は織り込み済みだった。が、軍歴詐称とイラク派遣回避の件は、トランプへの好悪を越えて米国民に影響を与え得る問題だ。国を守る自衛隊が残念ながら余り重んじられない日本と、アフガン撤退の不始末で犠牲になった米兵の出迎えで、腕時計を見たバイデンが散々批判された米国とは、軍人に対する尊敬の度合いに雲泥の差があるからだ。