金融財政の正常化を嫌う市場
石破茂氏が新首相に選ばれ4日、国会で所信表明演説を行いました。新聞の見出しを拾うと、「生産性を上げ賃金増」、「成長経済目指し投資に力点」、「防災庁へ準備」などです。所信表明演説は新政権の願望に過ぎず、公約でもなく、簡単に実現できそうにない多くの項目が並んでいます。
政治家、特に首相の演説、発言は注意して聞く必要があり、語っている部分には嘘(実現困難な願望)が多く、語っていない部分に真実があると、考えた方がいいと私は思います。
「国民を守る」の項目では、「物価上昇を上回る賃金上昇を定着させる」とあります。物価高の大きな要因は輸入物価の上昇で、円安、資源高、海外情勢不安などです。このうち日本がてきるのは、金利引き上げによる円安阻止です。円安対策については何も語らず、語れない。そこに真実がある。
「日本は有数の災害発生国です。人命最優先の防災立国を構築するために防災庁を設置する」とも、語りました。風水害はともかく、南海トラフ地震では「経済被害213兆円、死者23万人」とされます。その財源はどうするのか。大震災に備えて、異常な事態に陥っている財政金融を正常化しておく必要がある。その財政健全化については何も語っていない、語れない。そこに真実がある。
「社会保障制度全般を見直し、次の世代に負担を先送りしない」と、演説しました。それには高齢者世代の医療負担を現役世代と同じ3割の窓口負担にする必要がある。それについても何も語っていません。語ると、高齢有権者の反発を買うからでしょうか。そこに真実がある。
首相が分かっていたとしても、真実を国民に訴えられない大きな理由は、党内勢力の反発や「マネー市場の反発、抵抗」でしょうか。総裁選決選投票で高市氏が優勢と思ったマネー市場が円安・株高に振れ、結果は石破氏の逆転勝利となる。瞬く間に円高・株安に振れました。
日経新聞などは、「週明けの株式市場は急落の可能性が高い」と、騒ぎたてました。株価先物が大幅安になっていましたので、そう書き立てたにしても、そこまで書きますか。