この理由について研究者らは「(カモフラージュには)多くの神経系と筋肉系が関与しているため、体色変化にかかるエネルギーコストも自然と高くなっている可能性が高い」と説明しました。
またこれはタコの寿命を考えると、莫大なエネルギーコストになると研究者は指摘します。
タコはそもそも寿命の短い生き物です。
通常だと1〜2年ほど、短いものだと半年〜1年程度、長いものでも4〜5年であり、タコにとっては1分1秒が捨てることのできない大切な時間となります。
その中でカモフラージュを使うことは、かなり寿命を削ってしまう行動だと考えられるのです。
そして今回の結果はタコが自然界でカモフラージュを連発せずに、なるべく控えている理由を説明するものでした。
カモフラージュは寿命を削る「禁術」だった
研究者によると、野生下のタコはカモフラージュをなるべく使わないような方法を取っているように見えるといいます。
例えば、夜行性のライフスタイルはその一つです。
タコは基本的に夜行性であり、夜になると活発に行動して獲物を捕らえたりしています。
夜の暗い海だと、多少大胆に行動しても天敵に見つかりにくいため、カモフラージュをする必要がないと考えられるのです。
それから昼間に活動するタコは身を隠す方法として、カモフラージュよりも岩場の隙間や穴に隠れることを多用しています。
これもカモフラージュに伴う多大な代謝コストを節約するためなのでしょう。
きっとタコは自分でもカモフラージュが寿命を削る禁術であることを理解しているはずです。
タコにとってカモフラージュは、天敵がすぐ近くに迫っていて、周りに隠れる場所がどこにもないピンチのときの最終奥義なのかもしれません。
ですから、タコのカモフラージュを見たいと思って、捕まえたタコを無理に突いたりするのはやめてあげるべきでしょう。