普及のための切り札は

 しかし、競合も数多いのではないのか。ビーマップが開発した3つの見守りサービスはそれぞれに先進的だが、見守りサービスという領域では、すでに大手警備保障会社や郵便局などが先行的に提供している。どこに差異を設け、競争力を発揮するのだろうか。この疑問に杉野氏は即答する。

「見守りサービスを調査したところ、契約料は月5,000円前後が多いが、この金額は高齢者にとっては負担が大きい。そこで当社は、高齢者にも抵抗なく受け入れてもらえるよう、価格設定を大幅に引き下げることを考えている。低価格化は当社が得意にしている戦略だ」(同)

 厚労省が発表した「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の平均受給月額は5万6,316円、厚生年金(国民年金を含む)は14万3,973円。国民年金のみの受給者は言うまでもなく、厚生年金受給者にとっても収入が年金だけならば、確かに月5,000円の契約料は重い負担額である。まして物価高騰の折に、契約料の低価格化はサービスの普及に必須だろう。

5世帯に1世帯が孤独死リスクに…高齢単身世帯の不安を解消するサービス
(画像=『Business Journal』より 引用)

 今秋、ビーマップは「おうちモニタ」の精度向上を目標に実証実験に参画する。ビーマップは、テナント信用調査や不動産Techソリューションを提供するアイリス(東京都港区)が運用する見守りサービス「Mimamo」にAIによる見守りシステムを提供している。この「Mimamo」を良和ハウス(広島市)が広島県の管理物件に入居する単身者から希望を募って、半年間にわたって利用してもらい、AIによる判断の正確性を検証する。

「契約者の状態が明らかに正常であるとか、明らかに異常であるとか、はっきりとしている場合は判断できるが、正常と異常の境界線にあるような微妙な場合、どう判断すればよいのかという課題がある。実証実験を通してこの微妙な判断の精度を高めたい」(同)

 冒頭に挙げた「地域共生社会」が絵空事に終わらずに真に形づくられるかどうか。そのひとつの課題を解決できるのがビーマップの構想である。

(構成=Business Journal編集部)

提供元・Business Journal

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