不動産会社が契約者獲得に動くワケ
販売を開始して以降、主に不動産会社を介して契約者を獲得しているが、その背景には深刻な事情が潜んでいる。
60歳を過ぎると夫婦2人世帯でも単身世帯でも、アパート・マンションなど賃貸集合住宅への入居を拒まれることが多い。特に単身世帯が拒否される傾向が顕著だ。身寄りがいないなどの理由で保証人を確保できない場合は、保証会社を付ければ滞納リスクに対処できるが、それでも対処できないリスクがある。それは、ほかでもない孤独死の発生だ。
不動産会社にとって管理物件の集合住宅での孤独死は、文字通り死活問題である。杉野氏は説明する。
「孤独死が集合住宅で起きると、死臭によっては清掃しても消せない場合もある。さらに死臭は周囲の部屋にまで拡散してしまいがちで、当該の部屋だけでなく1棟まるごと賃貸できない状態になってしまうことも少なくない。孤独死が発生した部屋を事故物件として取り扱うだけでは済まないという現実がある」(同)
不動産会社に続いて普及の連携先に想定しているのは、ビーマップが太いパイプを持つスーパーマーケットやドラッグストアなど流通店舗である。各店舗を経由して個人宅に普及させるプランを検討している。狙いは店舗の売り上げ拡大への寄与だという。
「実店舗はECサイトにどんどんシェアを取られているので、例えば各店舗が個人宅と見守りサービスを契約して、商品の宅配を兼ねて見守りを行うことも考えられる。宅配が増えれば、ECサイトによって削られた売り上げを回復できるかもしれない」(同)