では、その実際の音を聞いてみましょう。
動画の前半部は死の笛を単体で吹いたときの音(実際の音は50秒辺りから)が紹介され、後半部の1分10秒辺りからは「100個の死の笛を同時に吹いて、その音が近づいてくる際の音」を再現しています。
※ イヤホンを推奨します。音量に注意してご視聴ください。
では、古代アステカ人は「死の笛」をどんな目的で使用していたのか?
それにはいくつかの説があり、特に有名なのは「笛の音で敵を恐怖に陥れて、戦意を喪失させる」というものです。
アステカの戦士たちはおそらく、首から死の笛を下げており、他の民族と武力衝突する際に笛をいっせいに吹くことで、敵軍を怯ませたのではないかと考えられています。
そのシチュエーションを再現したのが先の動画の後半部の音です。
こんな無数の断末魔の叫びが森の奥から聞こえて来れば、勇敢な戦士も思わず尻込みしてしまうでしょう。
(ただ今のところ、戦場や兵士の墓から死の笛が見つかっていないため異論もあります)
この他にも生贄の儀式の際に吹き、死者の声を響かせることで、生贄に捧げられた魂を冥界へ誘っていたとか、異なる笛のトーンを組み合わせることで、意識を高次の状態に移すという呪術的用途があったなどの説が唱えられています。
しかし問題は「死の笛の音が本当に人々に恐怖を与えられるのかどうか」という点でしょう。
音を聞いて「確かに不気味ですね」」とは言えるものの、脳活動から実際にその人が恐怖を感じていることは確かめられていません。
そこで研究チームは今回、人々に死の笛を聞かせて、そのときの脳波を測定する実験を行いました。
「死の笛」は現代人にも通用した
実験ではまず、ヨーロッパ在住のボランティア70名を被験者として募り、死の笛の音を聞いている間の心理的反応を測定しました。