ほんとうにそうだろうか。正確には、「それだけ」だろうか。

2020年代の前半は、大手メディアがこぞって「これが正解!」と打ち出した風潮が、実際には誤っていた時代として歴史に刻まれる。日本に関するかぎり、自粛政策はウイルスに対してムダだった。世界的に見ても、ワクチンには副作用があり、ウクライナは戦争に勝てそうにない。

ウイルスとワクチンに関して、(とりわけ日本の)若年層は、全メディアが総がかりしての「大コケ」から最大の犠牲を蒙った世代である。さして怖くない病気のために外出を規制され、「思いやり」と称してワクチン接種も強いられた。

「みんながまちがっており、騙された」という体験は、無意識のうちに独特の共通感覚を、被害に遭った世代に育むことがある。典型はむろん1945年8月の敗戦だが、それが再来する危険について、ぼくはまだコロナ禍の最中だった2021年3月末の取材に、こう述べている。

コロナ禍でも似たようなショックを体験する世代が育つかもしれません。たとえば授業は教室で受けることが当たり前だったのに、急にオンライン授業になった。それまで「教室に来い! 真の学びはキャンパスにしかない」と言っていた教授たちが、ある日を境に突然「教室には来るな。勉強なんかネットでできる!」と言い始める。しかしコロナ禍が終息したら、またきっと「教室に来い!」と言うのでしょう(失笑)。