この研究では、オランダの成人8331人を対象に、2019年から2023年の変化を追跡しました。

参加者は毎年、自分にとって幸福であることの重要度を評価しました。

さらに、生活満足度、肯定的および否定的な感情的経験を報告しました。

この分析の結果はどうなったでしょうか。

幸せを第一に求める人は、本当に幸福感を得ていたのでしょうか。

「幸せになりたい」という目標は、人を追い詰め、プレッシャーを与えると判明

分析の結果、幸福を常に重視する人は、全体的な幸福度が高い傾向にあると分かりました。

これはある程度、納得のいく結果です。

例えば、人生の中で「幸福感」を重視する人は、「義務感」を優先したり、「他人からの承認」をいつも求めたりする人に比べて、幸福感や喜びを感じやすいはずです。

ところが、今回の研究では、もう1つ重要なことが明らかになりました。

「幸せになりたい」という目標を持っている人は、その目標に応じて幸福度がどんどん向上していくわけではなかったのです。

この2つの要素から考えると、幸福を重視している人は、一般的には幸せな生活を送る可能性が高いですが、幸福への関心がさらに高まったとしても、1年後の生活満足度は大して変わらないと分かります。

なぜ「幸せになりたい」という目標は、そこまで人を幸せにしないのでしょうか。

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「幸せになりたい」という漠然とした目標を掲げると、それがプレッシャーになり、幸福度は増さない。一方、具体的な行動を目標にすると、結果として幸せになりやすい / Credit:Canva,ナゾロジー編集

ファン氏は、「『幸せになりたい』という目標に注目すればするほど、それを達成しなければいけないというプレッシャーを感じやすくなったり、幸せが得られるかどうか過度に心配したりする」と説明しています。

幸せを願うのは自然なことですが、人生の目標にするには漠然としており、何をもって達成されるのか判断しづらいものです。