「幸せになりたい」と願うのは自然なことです。

しかし、そう願って本当に幸せになれる人がどれほどいるのでしょうか。

京都大学に所属するクアン・ジュ・ファン氏が8000人のオランダ人を対象にした研究によると、「幸せになりたい」という漠然とした目標を持つ人は、長期的にはプレッシャーを抱え、その強い願いとは裏腹に、幸福度が向上していかないと報告しました。

私たちは「幸福になること」を第一に求めるのではなく、「家族と一緒に過ごす」「趣味を楽しむ」など、より具体的なことを目標にすべきなのです。

研究の詳細は、2024年8月20日付の学術誌『Psychological Science』に掲載されました。

目次

  • 幸せであることを重視する人は、本当に幸せになれるのか?
  • 「幸せになりたい」という目標は、人を追い詰め、プレッシャーを与えると判明

幸せであることを重視する人は、本当に幸せになれるのか?

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「幸せでありたい」と願うのは自然なこと / Credit:Canva

「幸せになりたい」と願うのは、ごく自然のことです。

それでも近年では、より多くの人が幸せを願い求め、人生における「第一の目標」にしています。

こうした心理の背後には、生活水準の向上や、社会的価値観の変化が関係しています。

人々には、単に生きるだけでなく、より良い生活を求める余裕が生まれました。

そして物質的な豊かさだけでなく、内面的な充実や感情的な満足感も重視される社会になったことで「現状に満たされない」と感じる人が増えているのです。

さらにSNSの普及によって他者と比較しやすくなり、この比較が「自分も幸せになりたい」という願いを強めています。

では、現代で私たちが本当に幸せになるためには、どうすればよいでしょうか。

今回、ファン氏は、オランダの一般家庭を対象に長期間にわたって行われるインターネット調査「The Longitudinal Internet Studies for the Social Sciences (LISS) panel」のデータを利用し、幸福を目標にすることと、その結果を分析しました。