ところが2017年9月、ヨーダは故郷を離れて行方知らずとなり、2019年に突如としてフュン島の南海域で発見されたのです。
このフュン島の南海域には小型のネズミイルカが住んでいるものの、ヨーダと同じハンドウイルカは生息していません。
それゆえ、ヨーダは少なくとも2019年以来、ひとりぼっちで暮らしていると見られるのです。
さらに南デンマーク大の研究チームが水中に録音装置を設置したところ、驚きの結果が得られました。
なんとヨーダは他に誰も仲間がいないにも関わらず、多種多様な鳴き声を発して喋り倒していたのです。
なぜ「独り言」を話しているのか?
この調査は2022年12月8日〜2023年2月14日までの69日間に行われ、合計で1万833回のヨーダの鳴き声が録音されました。
その中には一般的に同種の仲間とコミュニケーションを取るときに使われる鳴き声も多分に含まれています。
種類も多様で、2291回は口笛を吹くようなホイッスル音、2288回は攻撃性を示すこともある急速なクリック音、5487回は低周波音、767回は打楽器のようなパーカッションでした。
研究主任のオルガ・フィラトヴァ(Olga Filatova)氏も「最初は好奇心からヨーダの鳴き声を録音しましたが、これほど膨大で多種多様な鳴き声が録音できるとは思っていませんでした」と驚きを口にします。
またフィラトヴァ氏らが注目したのは、ヨーダが3種類の異なる「シグネチャー・ホイッスル」を使っていたことでした。
シグネチャー・ホイッスルとは、それぞれのハンドウイルカが幼い時期に学習して生涯にわたり使用する個体に特有の鳴き声パターンのことを指します。