それでは、ロシアの反応はどうか。クレムリンのペスコフ報道官は18日、「米政府の決定が確認されれば、米国がウクライナ紛争に関与しているという根本的に新しい状況が生まれる。米国は火に油を注いでいる」と非難している。

ウクライナには厳しい冬が到来する。ウクライナ東部・南部の前線ではウクライナ側は武器だけではなく、兵力不足で悩んでいる。ゼレンスキー大統領は新たに動員を考えているが、国内では長期化する戦争を批判する声や兵役逃れも出てきている。ウクライナ軍が長距離ミサイルをロシア領に打ち込んだとしても戦争の流れには大きな変化は期待できない。そのうえ、ロシア軍は3月以降、ウクライナ全土の発電インフラを集中攻撃。キーウや北東部ハリコフなどでは全ての火力発電所が損傷した。ウクライナ最大の民間エネルギー企業DTEKのデータによれば、ロシアはこれまでにウクライナの熱供給能力の最大90%を破壊し、数多くの変電所や複数の水力発電所は操業不能という。最良のシナリオでも、この冬、ウクライナ国民は1日平均5時間しか電力を利用できないだろうという(「電力不足で厳しい冬迎えるウクライナ」2024年10月12日参考)。

プーチン大統領はトランプ次期米大統領が職務を開始する前に、可能な限りの領土を奪い、停戦交渉を有利に運ぼうとするだろう。そのため、プーチン氏は犠牲を無視して攻撃を激化させている。英BBC放送とロシア独立系メディア「メディアゾーナ」が15日発表したところによると、ウクライナ侵攻からこれまでに7万8000人以上のロシア兵士が戦死した。実数はそれ以上で、ここにきてロシア兵の死傷者が急増しているという。

なお、EU外相会談では中国のロシア支援を批判する声が強まっている。ドイツ政府は、中国がロシアにドローンを製造・供給していると見ている。ベアボック外相は「これは結果を伴うべきだ」として、中国への制裁を示唆している。中国でのドローン製造は、ロシア・中国・イランの共同プロジェクトと見られている。

ゼレンキー大統領インスタグラムより