2022年に地球上で最大と見られる「単一の植物」が発見されました。

西オーストラリア州にある世界遺産・シャーク湾(Shark Bay)の浅瀬には、「ポシドニア・オーストラリス(Posidonia australis)」という海草が、約180平方kmにわたって広がっています。

西オーストラリア大学(UWA)とフリンダース大学(Flinders University)のチームが、その遺伝子調査を行った結果、なんとすべてが単一の個体であることが判明したのです。

これは一体どういうことなのでしょうか?

研究の詳細は、2022年6月1日付で科学雑誌『Royal Society B: Biological Sciences』に掲載されています。

目次

  • 4500年前に出現し、勢力を拡大していた
  • 「地下茎」によりクローン増殖

4500年前に出現し、勢力を拡大していた

西オーストラリアのシャーク湾
西オーストラリアのシャーク湾 / Credit: UWA – Largest known plant on earth discovered at Shark Bay and it’s 4,500 years old(2022)

今回のプロジェクトは、シャーク湾の海草が遺伝的にどれほど多様であるかを理解する取り組みから始まりました。

海草に何種類の植物が生育しているかを知るには、その植物のDNAを調べる必要があります。

そこでチームは、シャーク湾全域から10カ所を選び、P. オーストラリスのサンプルを採取。全サンプルから合計1万8000の遺伝子マーカーを解析しました。

その結果、「すべてが同じ単一の種類である」という驚くべき事実が判明したのです。

つまり、180平方kmに広がるP. オーストラリスはすべて、地下でつながった1つの個体であり、世界最大の単一植物群と見られます。

180平方kmと言われてもどのくらいの範囲か、すぐにはピンときませんが、例えば山手線が囲む内側の面積が63平方kmだと言われています。