セブン-イレブンの業績不振が鮮明になりつつある。競合するローソンとファミリーマートは2024年3~8月期、前年同期比で増益となった一方、セブン&アイ・ホールディングス(HD)のコンビニ事業は国内・海外そろって減収になったとみられる。24年6~8月度の既存店売上高も、ファミマとローソンが前年同月比増加となったのに対し、セブンは減少。じわりと始まったセブンの不調の背景には、これまで「パッケージ詐欺」などと指摘されてきた食品類などの“容器底上げ”や誤認させかねない塗装など、消費者への不誠実な姿勢が影響しているのではないかという声も広まっている。業界関係者の見解を交えて追ってみたい。

 カナダのコンビニエンスストア大手アリマンタシォン・クシュタール(ACT)から買収提案を受けているセブン&アイHD。事実上の買収防衛策として、GMS(総合スーパー)・イトーヨーカ堂や食品スーパー・ヨークベニマルをはじめとする非中核事業を連結子会社から外す方針を固め、ヨーカ堂のネットスーパー事業からの撤退も決めるなど、経営的に大きく揺れている。

「よくスーパー事業がセブン&アイ・グループにとって重荷になっているといわれるが、たとえばセブン‐イレブンで売られるプライベートブランド(PB)の食品にはヨークベニマルのノウハウが投入されていたり、同社の事業オペレーションのノウハウがグループ会社に活用されていたりと、意外にスーパー事業はセブン&アイ・グループ全体にとって重要な役割を担っている。セブン&アイはヨーカ堂とヨークベニマルを別の中間持ち株会社に移して、出資比率と関与の度合いを下げる方針を示しているが、長期的にみればセブン-イレブンの弱体化につながる可能性もある。また、セブン&アイは新たな成長領域としてコンビニとスーパーの中間的な位置づけであるミニスーパーのSIPストアに注力していく方針だったが、ヨーカ堂とヨークベニマルへの関与が薄まることで、大きな方針転換を余儀なくされて先行きが不透明になるかもしれない」(小売チェーン関係者)

予測していなかった事態が進行か

 セブン&アイHDの業績はさえない。24年3~8月期の連結決算は純利益が前年同期比35%減の522億円となり、今月には25年2月期通期は純利益が前期比27%減の1630億円になる見通しだと発表。減益の主な要因は海外コンビニ事業の不振であり、3割の減益となる見通しで、約440店を閉鎖することも発表。また、国内コンビニ事業も4%の減益見通しとなっている。

「今年度のセブン&アイHDの純利益はもともと前期比30%増の予想であり、それが一転して27%減となるというのは少し異常。同社のなかでは予測していなかった事態が進行しているとみて間違いない。国内セブン-イレブン事業では売上減への対策として、手頃な価格の『うれしい値!』商品の拡充などを急ぐなどいろいろと手を売っているが、このまま既存店の売上減が続けば通期で4%の減益では済まないかもしれない」(同)