b-bee/iStock

大企業に勤めていても副業が推奨される今、起業に興味を持つ人は増えています。そんな中、常に注目されているのが資格の取得。すでに資格を持っている人はもちろん、資格を取って独立したい人や資格に興味がある人に必読のQ&Aを、経営コンサルタントで士業(特定行政書士)でもある横須賀輝尚氏の著書『資格起業バイブル』から、再構成してお届けします。

現役の士業でも、手書きでやっている事務所は少なくない

Q:プロになる以上、業務用ソフトは完璧に揃えたいのですが、資金が足りません。

行政書士の資格を取りました。開業のため、準備を進めていますが業務ソフトをどう考えたらよいのか悩んでいます。10万円以上を超える業務用ソフトもあり、とても全部そろえられそうにありません。どこまでそろえればよいのでしょうか?

士業の商品は基本的に「書類」になります。この書類という商品には2つの品質側面があり、ひとつは「許可が下りる」「補正がない」などという内容的な質、そしてもうひとつが「書類の見栄え」です。

士業としてプロフェッショナルな仕事をするということは、内容ももちろんのこと見た目にも気を配る必要があります。書類の体裁にも2つの品質的側面があり、ひとつが「手書き」か「パソコンなどによる機械印字」なのかという点と、もうひとつが紙そのものの質です。

たとえば行政書士が許認可などの書類をつくる場合には、パソコンで業務用のソフトを使用して書類をデータ上でつくり、プリンタで印刷して書類をつくるという方法が一般的です。この業務ソフトがなかなか高額で、売上の目処が立っていない新人には厳しい金額なのです。

もっとも、設備投資という意味では、こういった業務用ソフトも含めて創業資金と考えるのがビジネスでは当たり前と見ることもできます。ですから、「ソフトが高くて困っている」という悩みは、ビジネス上級者から見れば甘えに見えるかもしれません。しかし、私自身もお金がないところから始めたので、気持ちはよくわかります。では、業務用ソフトは本当に必須なのでしょうか。