それと同時に約250万匹が集まったタラの群れも確認されています。

そして両者の集団がバレンツ海でぶつかったとき、わずか数時間のうちにタラの集団がシシャモの大群の半数におよぶ1000万匹以上を食い尽くしたことが判明したのです。

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左のa列:シシャモの大群の時間変化(ⅲで半分が減っているのがわかる)、右のb列:タラの群れの時間変化(ⅲで捕食のために散らばったことを示す) / Credit: Nicholas C. Makris et al., Communications Biology(2024)

これは非常に驚くべき結果であり、マクリス氏も「これほど大規模な捕食者と被食者の相互作用を目の当たりにしたのは初めてです」と話しています。

ただそんな短時間でこれほどのシシャモが食べられるのだとすると、種の存続に重大なダメージが出るのではないでしょうか?

しかしこれについてマクリス氏は「まったく心配ない」と指摘します。

というのも、北極圏からノルウェー沖を毎年移動するシシャモの大群は数十億匹という膨大な数がいるので、1000万匹以上が食べられたとしても、それは全体の約0.1〜0.2%が減ったに過ぎないのです。

それくらいの損失であれば、種の存続にとって何の問題もありませんし、新たな産卵によってすぐに個体数が戻ります。

今回の結果は、自然界での捕食イベントが私たちの想像する以上にダイナミックに起こっていることを教えてくれるものです。

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参考文献

Oceanographers record the largest predation event ever observed in the ocean
https://news.mit.edu/2024/oceanographers-record-largest-predation-event-ever-observed-1029

World’s Largest Predation Event Ever Recorded Captured in Norway
https://www.sciencealert.com/worlds-largest-predation-event-ever-recorded-captured-in-norway