更に、恥ずかしい出来事が起きた。サンチェス首相がこん棒のようなもので背中を殴られた、という理由で待機していた公用車のところまで護衛に囲まれながら歩き、そこを去ったのである。一方の国王夫妻と州知事はその後も1時間余り被災者と対話を交わした。王妃の顔には泥を掛けられた跡も観察されたが、被災者との対話を続け涙を浮かべる場面もテレビカメラが捉えた。
この時、国王と対話した市民の一人は「国王への信頼を取り戻した」と語った(11月4日付「ABC」から引用)。その一方で、サンチェス首相は国王と州知事が彼に同行してその場を去らなかったことに不満を表明したのである。
これが、スペインの首相の人間的にみすぼらしい本当の姿である。首相になる器量も資質もない政治家が、国の指導者になった悲劇が今回の多くの犠牲者を出したことに見られる。しかも、サンチェス首相が暴行を受けたというのは偽りであり、暴行を受けたのは彼を背後から守っていた護衛官であったということもカメラが捉えている。
11月5日、政府は5000人の軍隊と5000人の警察と治安警察を派遣したと発表した。しかし、翌日の被災者からは彼らの姿は見えないと語っている。