構成する人員が、全員おしなべて能力が高いこと
が条件になってくることがわかります。つまり、同映画の犯人グループが「洋ナシ」ではなく能力の高い人材(=ハイスペック人材)で構成された場合の勝敗は実はわからない、ということです。
ここでいうハイスペック人材のイメージは、フラット組織が目的だけ共有して上司も部下も目標も設定されないと定義する場合、例えば砂漠に落とされても、ゴール・方向性の設定ができ、やり方を取捨選択し、実行し、やり切ることでゴールに到達できるレベルの人間、ということになり、かなりのレベル感であることがわかります。
フラット組織において、集団に所属意識を醸成させているのは”目的”(=理念)のみということになります。
フラット組織の実現に向けた難所 ②:優秀な人材を引き留めることが難しい企業組織におきかえた場合、フラット組織を目指して、このハイスペック人材を揃えることが瞬間的にできたとしても、やはり課題が残ります。それは、
能力の高い人間にそのコミュニティに居続ける有益性を継続的に提供できるか
というものです。
実際に、ベンチャー界隈でもこの少数精鋭のフラットに挑んだ経営者に数名面識がありますが、2年と持たずに、ハイスペック人材の離脱とともにコミュニティが消滅の危機に瀕しています。
繰り返しですが、組織マネジメントそれ自体は、コミュニティが市場に価値を発揮するための‟手段”であり、目的は外部有益性(=市場への価値提供)という前提に立つと、フラット組織を選択することは、全責任を負う経営者の意思決定であり、絶対的価値観としてフラットが悪、編成組織が善という一元論を主張しているわけではありません。
ただ、実現可能性という観点から見た時、上記のような大きな難所があることを理解しておく必要があるでしょう。
ピラミッド組織における自主性自立性は、ルールに依存している同映画のラストでは、SWAT組織が命令で無いのに‟自主的に”行動し、犯人グループを追い詰めていきます。