なくしたはずの免許証が不正に利用され、知らない間に自身の信用情報に傷がついてしまった……。こんな話題が先日SNSを賑わせていました。

 その際に注目されていたのが、信用情報機関への「本人申告コメント」という仕組み。無くした身分証を不正に利用されそうになったときのために、備えておける対策です。

■ 「本人申告コメント」も信用調査の参考にされる

 「信用情報機関」とは、各金融機関から提供された信用情報を管理している機関です。借り入れや支払い情報などが含まれます。

 金融機関が新たにクレジットカードを発行する際や融資を行う際には、この情報をもとに申込者の支払い能力の評価が行われます。

 日本にある信用情報機関は3つ。日本信用情報機構(JICC)とシー・アイ・シー(CIC)、全国銀行個人信用情報センター(KSC)となっています。それぞれ特徴が異なり、保有する情報量が最も多い、貸金業の加盟が多い、銀行の加盟が多いなどあります。

 こうした信用情報機関は先述の通り「各金融機関から提供された信用情報」を管理するとともに、本人からの申請も一部受け付けています。それが今回SNSで話題に上っていた「本人申告コメント」あるいは「本人申告」と呼ばれるもの。

 信用情報機関が保有している個人の信用情報に対して本人からの申告内容を有料で登録することができる仕組みです。免許証など身分証を紛失した際に「不正利用防止の届け出」としてあらかじめ届けておくことができ、手数料は500円~1000円ほど(機関によって異なる)。

 「本人申告コメント」も、金融機関が申込者の信用調査を行う際の参考にされます。もし万一紛失した身分証を悪用して、借り入れ、クレジットカード契約などが行われようとした際に、「本人申告コメント」に紛失の記録があるだけで、審査する各金融機関も警戒することができます。

■ 100%悪用が防げるわけではない

 ただし「本人申告コメント」は、各金融機関が信用調査をする際の“参考情報でしかない”点にも留意が必要です。信用情報機関はあくまで情報を管理しておくのが役割。「本人申告コメント」を登録したからといって、各金融機関が調査の際に参照することを保証するものではありません。つまり不正利用防止が100%保証されるわけでもありません。

 登録期間は登録日から5年間で、5年が経つと廃棄もしくは消去されます。期間中に本人の届け出による削除も可能となっています。

 また、上記の3機関は情報の一部を共有していますが、加盟会員はそれぞれ異なります。各機関の加盟会員が必ずしも与信判断に他機関の情報を利用するとは限らず、広く本人申告コメントを注意喚起するためには、それぞれの機関で登録することが推奨されています。

 100%の保証はありませんが、不正利用を防ぐ可能性がある仕組みですので、トラブルが発生した場合には登録しておく価値があると言えるでしょう。

 なお今回執筆にあたって、SNS上で例として取り上げられていたJICCに問い合わせてみたところ、公式HPに掲載の内容が「本人申告コメント」に関するすべてであり、それ以外の細かな仕組みなどについては公開できないとのことでした。

<参考・引用>
日本信用情報機構(JICC)「不正利用防止の届け出」
シー・アイ・シー(CIC)「インターネットで本人申告する」
全国銀行個人信用情報センター(KSC)「本人申告の手続き」

(ヨシクラミク)

提供元・おたくま経済新聞

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