食品輸送はもう限界? 消費者側もリスクを理解して注文を

 物流業界では「2024年問題」という課題がある。これは働き方改革関連法によって、今年4月からトラックドライバーの時間外労働の規制が厳しくなり、労働時間が短縮されることが原因で輸送能力の不足が起こるとされている問題だ。ドライバーの人手不足が以前から叫ばれている物流業界だが、食品輸送の状況はどう変化していくのだろうか。

「2024年問題によって、クリスマスケーキやおせちなどシーズンものの商品が配送される繁忙期には、現在の人手不足の状況にさらに拍車がかかる懸念があります。それ以外にも、日本全国の冷凍冷蔵倉庫のキャパシティが少なくなってきているというのも、食品輸送が厳しくなると予想される原因の一つです。日本各地にある冷凍冷蔵倉庫は概ね1970年代から80年代に建てられた古いものが多く、老朽化が進んでいます。建て替えが進んでおらず、冷凍冷蔵倉庫のような寒さの厳しい場所での勤務は体力が必要なため、倉庫内で働く人材も不足している状況なのです」(同)

 また、今回の事件が大きく報道されたことについて久保田氏は、SNS特有の性質も絡んでいるのではないかと推察する。

「通常の運送事故であれば、補償契約に基づいて消費者に返金対応することで損害賠償を行い解決することが多いのですが、今回は破損の起こった件数が多く、破損したケーキを受け取った方々がSNS上にどんどんアップしたことで、大きく報道されてしまったのだと思います。SNSの性質上、こうした被害が拡散されることはやむを得ないことでしょう。

 しかし商品が届いたら破損していたという事例は、日々数え切れないほど起きています。特にクリスマスケーキやおせち、寿司など見た目や盛り付けにこだわった食品は、もともと配送すること自体が難しい商品です。そうした商品を購入する消費者側も、ある程度は崩れて届くかもしれないというリスクを理解したうえで、購入するということを念頭に置いておくべきかもしれません」(同)

 近い将来、ますますの輸送能力不足が懸念される状況において、「きれいな状態で届いて当たり前」という認識でいると、いざトラブルが起こった際に過剰に失望してしまうことになりそうだ。

(文=A4studio、協力=久保田精一/サプライチェーン・ロジスティクス研究所代表)

提供元・Business Journal

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