野党は国会ではどう追及するべきなのか
こう考えると、国民の疑問や不満の前に、「検察の捜査処分」が立ちはだかり、真相を覆い隠し、裏金議員に納税を免れさせる構図が、この問題をめぐる混乱につながっているといえる。野党の国会での追及も、そのような構図を踏まえ、裏金議員の「検察捜査に依拠した言い訳」を取り払うことに向けられるべきであろう。
私は、昨年12月から今年1月にかけて、立憲民主党の国対ヒアリングに3回出席し、「政治資金規正法の『大穴』」の問題について解説し、法務大臣に「指揮権」を根拠に法務・検察当局へ説明させるよう求めていくこと(「指揮権に対応できない小泉法相は速やかに辞任し、後任は民間閣僚任命を」)についても自説を述べた。
しかし、残念ながら、それが、その後の国会質問に十分に活用されているとは思えない。
まずは、今回の裏金事件の根本にある「政治資金規正法の『大穴』」の問題に関して、法務省に、「収支報告書に記載しない前提で政治家側に渡された『裏金』」の帰属先をどう判断するのかを問い質すべきであろう。
検察が「裏金は政治団体に帰属した」と判断したことの根拠がないこと、それが議員個人に帰属していることが自ずと明らかになるはずであり、裏金議員に当然の所得税納税義務を果たさせることにもつながるはずだ。
そして、自己に不利な真実を語るはずもない安倍派幹部を政倫審の場に引き出して問い質すことより、検察に被告人の権利を害することなく、公判への影響が生じない範囲で捜査結果を公表させることを、法務省に求めるべきだ。
検察が応じないのであれば、検事総長に対する指揮権(検察庁法14条)に基づいて、捜査結果についての説明を求めることも可能だ。今回のように、日本の政治そのものに重大な影響を与える事件で、検察に可能な限り国民への説明を尽くさせるようにすることも、法務大臣の重要な職責と言うべきだ。
このような「法務大臣に対する追及」によって、「検察の捜査処分」は言い訳にはならず、裏金を受領した議員に所得税の納税義務があることは自ずと明らかになるはずだ。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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