60代の退職後の考え、楽観的過ぎる、らしい…

日経電子版に「退職後の生活、60代の考えは楽観的すぎる?」という記事があります。お読みになった方も多いでしょう。退職しても思ったほど生活費が減らない、という後戻りできない現実問題について掘り下げた内容となっています。さて、「生活費が減る」には物理的な減少事由と意識的な節約の二通りしかありません。物理的減少事由とは子供が巣立つ、相方が巣立つ、小さい家に引っ越す、人付き合いが減る…といった自分の生活環境そのものが変わることでの生活費減少を意味します。一方、意識的な節約努力とは外食を控える、華美な買い物をしないといったことです。ところが実は後者の意図的節約は極めて難しい行為なのです。

経済学的に一度身に着いた生活レベルは簡単には落とせないということが証明されています。例えばグルメの人が素食になるというのは病気でもしない限り難しいです。ファッションにこだわる人はもう外出先がそんなになくても洋服を買う手が止まりません。むしろ「退職して時間が出来たら…」と奥様とお約束をしている方も多いはずで、旅行だ、高級レストランだとむしろ出費がかかることをすることが多いぐらいなのです。つまり、退職しても生活費が減らないというのは当たり前なのです。

記事を読んでびっくりしたのは投資による収入がある人は退職者の40%に留まるというものです。私が毎回、「今週のつぶやき」でマネーの話を振っている一つの理由はお金に敏感になること、そしてお金に働いてもらうことに気が付いてもらいたいからです。記事の通り、退職後は年金、勤労収入、資産収入が主力です。ただ勤労収入は長期的に減少するし、年金の金額は基本的には変わりません。となれば以前と変わらぬ生活費を維持したいなら、資産収入を上げるしかないのです。しかし残念ながら退職してからそれを突如始めても大方失敗します。マネー教育は10代の時から行い、超長期投資することに我々は早く気が付くべきでしょう。