また、河野氏が、裏金議員への対応として

「不記載と同じ金額を返還をしていただくことでけじめとする」

などと述べたことに対しても、「裏金」は、派閥から所属議員にわたったものであり、自民党は返還を求める立場ではないことを指摘した。

裏金議員への対応について、8月24日に出馬表明した石破茂氏は、説明責任を尽くすことの必要性を強調し、公認についても新執行部で検討する余地があると述べている。一方、6日に記者会見を行った小泉進次郎氏も、

「対象となった議員の公認については、説明責任が尽くされているか。再発防止に取り組んでいるか、地方組織、県連の意見を聞いて新執行部で判断する」

と述べている。一方、茂木敏充氏は、

「(衆院)解散が決まった時点で党選対本部で厳正に判断したい」

としか述べていない。9月3日に出馬会見を行った林芳正氏は、

「総裁が代わったからと言って、政倫審、党の党紀委員会等の手続をとって決定したことを何も手続もとらないで変えることはあってはならない」

と述べ、小林氏と同様に、

「新たな事実が出てきた場合には、党としての調査を考える」

と述べた。

そして、マスコミの情勢調査等では、石破氏、小泉氏と並び有力候補の一角とされている高市早苗氏が、9日に出馬会見を行った。

高市氏は、裏金議員への対応について問われ、

「自民党で処分が決まっている。8段階の処分の中には『非公認』もある。非公認より厳しい処分が5名に下されている。非公認を含めて党内で積み重ねてきた議論を総裁が代わったからと言ってちゃぶ台返しをしたら独裁」

だと述べて、新総裁に就任しても、裏金議員への公認等について検討する考えはないと述べた。

基本的な趣旨は林氏と同様だが、党紀委員会で「非公認」も含めて検討した上で、処分が決定されたことを強調し、それを覆すのは「独裁」とまで言い切ったことで、裏金議員の公認を見直すことを明確に否定した。この高市氏の発言は、次期衆院選での公認の見直しなどという話にならないよう、固唾をのんで総裁選の行方を見守っている80人を超える裏金議員の支持を得る上では、この上なく効果的なものと言えよう。

高市早苗氏インスタグラムより