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昔から日本に存在した「RVの原型」、1970年代にはどうなったか
1970年に現れ、現在まで続く小さな巨人、ジムニー
昔から日本に存在した「RVの原型」、1970年代にはどうなったか
今でも時々、販売店のチラシやWeb上で見かける「RV」って何?という疑問に応えるこの企画、その後の我が国で自動車の価値観を大きく変えた、「1990年代RVブーム」初期に三菱 パジェロが代表作だったこともあり、現在のSUV=RVと思う人も少なくありません。
実際は既存の価値観をぶっ壊す新世代ジャンルそのものをRV(Recreational Vehicle:レクリエーショナル・ビークル)と総称しており、その原型は1960年代には既にあったどころか、国産車試乗ではむしろ主役であった…というのが前回のお話です。
今回は自動車メーカー側から、海外の模倣にしても「仕事グルマの延長」から少し外れて新たな提案が行われるようになった、「1970年代のRV」を紹介します。
1970年に現れ、現在まで続く小さな巨人、ジムニー
クロカン(クロスカントリー)4WDや商用車をベースに乗用車チックにカスタマイズしてカッコよく乗る…のが後のRVブームへつながり、爆発的なヒットで旧来主役だったセダンやクーペを駆逐していくわけですが、その原型で重要車種のひとつが1970年に現れます。
それが現在でも人気車種のひとつであるスズキの軽クロカン、「ジムニー」。
そもそもは、戦後復興期にオート三輪で頭角を表し、軽4輪への移行期に開発能力不足から市場を去っていた「ホープ自動車」の少量生産車、「ホープスター・ON型4WD」をベースに、スズキの伝説的指導者・鈴木 修 氏が目をつけ生産権を購入したのが始まり。
当時のジープ型クロカン4WDなんて、自衛隊や警察、官公庁の需要を除けば「悪路走破性以外に何もないスパルタンなクルマなんて誰が乗る?」という状態でしたから、スズキ社内でも猛烈な反発があったそうですが、「天啓」を得た鈴木 修 氏は文字通り猪突猛進。
自動車メーカーとしての再参入を断念したホープ自動車から権利を買うと、スズキで量産できる仕様へ変更して1970年4月に発売、当時のキャリイと同じ空冷2気筒2サイクルの360ccエンジンながら圧倒的な悪路走破性に加え、小型軽量がウケます。
もっとも「ジープ型のクルマ」が大ヒットする時代ではありませんでしたが、「どうせ小さいし軽自動車だし、1台くらいそんな車があっても困らない」ジムニーは、ジワジワとそのユーザー層を増やしていくのでした。