次の問題点は売却時に売買代金を一括清算しなかった点です。皆さんにお伺いしますが、不動産を売る際に買い手が決済日に全額払えなかった場合、決済はしませんよね。それが普通です。なのに繰り延べ払いだった点はあまりにも奇抜、売り手はお人よしそのものです。
3つ目が仲介業者のクオリティです。記事には具体的社名は出ていませんでしたが、業界中堅クラスで取引コストが安かったから、と選定理由を述べています。M&A業界は正直言うとどこまで親身にやってくれるか、またどれほど知識量と経験値があるのか、まだまだ未知数なのです。
また売買手数料は売り手と買い手から貰う「両手ビジネス」の上に不動産仲介でよくある他社との折半と違い、ほぼ一社独占なのです。この悪習は現在法律の見直しが進んでいるのでじきに法改正になるはずです。
ちなみに業界最大手の上場企業の一つにM&Aキャピタルパートナーズという会社があります。この会社は驚くことにあのキーエンスを凌ぐ社員の年収が日本一高い会社であります。社員平均年齢32.2歳、平均年収2688万円です。唖然でしょう。多くの方は知らないと思います。
中小企業経営者は事業継承にもう少し賢くなるべきです。お金を借りるのは銀行、不動産を売るなら不動産屋、事業売却はM&A会社…という短絡な思考のもとに「お任せ」をするから間違いが起きるのです。「私はその点は何もわからないのでどうぞよろしく」という挨拶言葉があります。何もわからなくて自分の会社を売るのですか、誰に売るのか、どうやって売るのか、興味ないのですか、自分が育ててきた会社でしょう、愛着はないのですか、と申し上げたいのです。
今、自分で事業をしていて思うことは日本もアメリカもカナダも労働の質が下がっている点です。質が下がっているというのに語弊があるなら世の中が複雑になりすぎて労働者がついて行っていないのです。なので大会社の看板を背負った従業員のクオリティも当たる人次第ということになります。