──GRUとワグネルって実は随分前から西側諸国とつるんでいるんですか?

ジェームズ:そうでなければ、プリゴジンの反乱なんかできないです。

──そうなってくると、ウクライナ戦争自体もしかしたら西側が仕掛けているんですか? って気持ちになりますよね(苦笑)。

ジェームズ:まあ、西側が煽っていることは間違いないです(苦笑)。MI6長官は「ショイグが自分の昇進のために戦争を始めた」というプリゴジンの言葉を引用していますが、私もウクライナ戦争が始まった頃にショイグの都合でこの戦争が起こったと言いました。ショイグが自分の昇進のためにこの戦争を始めたことは間違いありません。しかし、そのショイグに「ウクライナぐらいすぐに取りにいけるぞ」と囁いたのはGRUしかありえないんです。それを信じてショイグはプーチンにウクライナ侵攻を勧めたのです。そういう一連のGRUの行動を見ているとずっとショイグを騙しているのは彼らGRUなんだというのが見えてきます。軍事作戦にしても、こんなメチャクチャで補給も提供されていないというのは普通に考えておかしいんです。ロシア軍はいままでもっとスマートに戦っていましたよ。シリア戦争とかを思い出してください。

──ああ、確かにそうですね。シリアではアメリカ軍よりも全然上手に戦ってましたよね。

ジェームズ:アメリカ軍のほうが遥かにヘタでしたよ(苦笑)。ですから、おかしいんですよ。先日、アフリカのニジェールという国でクーデターが起こったんですが、このクーデターの背後にはワグネルがいます。ワグネルということはGRUなのですが、この時のクーデターも本当にスマートでした。

──上手にやろうと思えばできると。

ジェームズ:いや、そうなんですよ(苦笑)。ウクライナ戦争の作戦って本当にありえないんですよ。何しろ、開戦前は「ロシア軍は世界第2位の軍隊である」というのが世界の諜報機関関係者の常識でした。ですから、GRUがわざと暴走しているのは間違いないです。ということは、GRUがクレムリンを狙っているのも間違いないでしょう。そこに西側が注目して反プーチンのもとで協力体制を作ったというのが実際に起こっていることでしょうね。

──そう考えるといろんな辻褄が合いますよね。

ジェームズ:合ってきます。ともかく、ワグネルが独自に動き出したことは大きいですね。今回のMI6長官のスピーチも、独自に動き出そうとしているワグネルをサポートしている形になっていますので。

──プーチン体制は崩壊しそうだと言う一方でプリゴジンは決して悪く言わないと。

ジェームズ:それしか言っていませんから長官は(苦笑)。そのためだけにわざわざ長官が出てきてスピーチしていることはかなり重い意味がありますね。