小泉進次郎さんが「解雇規制の見直し」を主要政策に掲げ、「国会に来年法案を提出」と主張されています。私も「雇用の流動化」には賛成ですが、それが小泉さんの言う政策で進むのか疑問です。…
— 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) September 13, 2024
出馬会見では「企業にリスキリング・学び直しとその間の生活支援、再就職支援を義務づける」とのべているが、政府が判例を変更して義務づけることは不可能である。これは私の推測だが、小泉氏(あるいは彼のアドバイザー)が、整理解雇の4要件も実定法だと勘違いしたのではないか(追記参照)。
解雇の「金銭解決ルール」が必要だ解雇の条件という大事なルールについての法律がなく、判例の積み重ねで正社員の過剰保護になっている現状は、法治国家として好ましくない。そこで判例を法律で上書きする金銭解決ルールの法制化が議論されてきた。
これは小泉純一郎内閣が2003年に国会に提出した労働基準法改正案で議論されたが、労使が合意できず、マスコミが「クビ切り法案」と騒いだため、解雇権濫用法理だけが立法化され、規制強化になってしまった。
これを何とかしようという議論は20年以上続いているが、小泉氏はこの金銭解決にまったくふれない。他の候補から「具体的にどういう解雇規制を緩和するのか」と突っ込まれると、リスキリングとか転職支援とか意味不明な答をくり返す。
この点は「解雇の金銭救済制度」を明言した河野氏のほうが明快である。なぜ小泉氏が金銭解決を避けるのかよくわからないが、また父親のようにマスコミに「カネでクビを買うのか」と攻撃を受けるのを恐れているのかもしれない。
労働契約法16条で「解雇の自由」を明記するしかし解雇規制というタブーにふれた以上、ハレーションは避けられない。金銭解決から逃げないで、具体的な改正案を提案してはどうだろうか。たとえば労働経済学者は、労働契約法16条を次のように改正することを提案している(一部略)。
(解雇の自由)使用者は労働者を解雇することができる。 (不当解雇)別表1に記載する理由による解雇は無効とする。(解雇補償)労働者は、自らを解雇した使用者に対して、別表2に定める額の補償金を請求することができる。
(裁判による加算)裁判所は、解雇された労働者の損害について保障額の加算を命じることができる。