週末にクリニックに行って、薬局に処方箋を渡した後、なんていうか「お喋り好き」っぽいおばあさんの薬剤師に名前を呼ばれた。ところが顧客との世間話にしては、妙に気まずそうである。
そのはずで、要は10月から、ジェネリックの薬剤を選ばないと薬代が高くなる。概算だが、ひょっとすると倍になるだろうと言われた。そんな「不利益変更」をお得意さまに切り出すとなったら、言い澱まない方がおかしい。
「え、いきなり倍すか?」と聞き返すと、こんな感じの説明が続いて――
「ウチの薬局がしたいのじゃなくて、厚労省から『そうしろ!』と言う国の決まりなんです。あのぅほら、コロナの時、入院からワクチンからぜんぶタダにしましたでしょ? その分をどこかで埋めないといけないってことなんです。 お客さまだけじゃなくて、ここの自治体は乳幼児は医療費無料になっていて、さすがにそれだけは無料を続けようって最初は言ってたんですけど、結局ダメで乳幼児でも『ジェネリックを選ばない場合の差額はとる』ことになりまして。 厚労省だけじゃなくて、とにかく国の赤字をなんとか削れということで、他にも色んな省庁に命令が来てるみたいなんです、つまり、」
「財務省の陰謀ガー!」になったら長そうな気配を察したので、「要するに、ぼくは来月までにどっちの薬にするか、考えておけばいいんですね?」と答えて退散したのだが、説明のどこまでがマニュアルに沿ったもので、どこからがおばあさんのアドリブかは、ちょっとわからなかった。
帰宅後に調べると、昨年末から「方針」としては報道されていたようだし、そもそもこれまで、ジェネリックを選んでも大して値段が変わらない方がヘンだった、という側面はある。薬局の説明チラシ(ヘッダー写真)には、こんな「わかりやすい喩え」も載っていて、思わず苦笑した。