今季より鹿島アントラーズから町田ゼルビアへ加わったDF昌子源。昨年鹿島ではベンチスタートの多いシーズンとなったが、今季は序盤からスタメンで起用されるゲームも多く、ここまで31試合に出場。リーグトップの失点の少なさを誇るチームで守備の中心選手となっている。

フィジカルの強さはもちろん、突破を狙う相手との距離の詰め方や身体の入れ方といった技術面ではベテランらしいプレーを多く見せる。残念ながらチームは後半戦に入って以降の失速で優勝から遠ざかりつつあるが、昌子はJ1初挑戦の町田にとって躍進の立役者といっても過言ではないだろう。

昌子と言えば、2018FIFAワールドカップロシア大会ラウンド16のベルギー戦で4バックの一角を担った選手。いわゆる“ロストフの悲劇”を経験しているだけに、特に国際大会で優位にゲームを進めている中での危険性を痛いほど理解している1人と言えよう。今回の最終予選、9月シリーズは2試合ともに大勝した日本代表。しかし10月シリーズ(サウジアラビア戦、オーストラリア戦)は、いずれもアジアの強国相手ということもあり簡単なゲームとはならなかった。現在の日本代表には、特に攻撃陣に欧州クラブで主力として活躍する選手も多くゴールへの期待感は高い。その分リードしてゲーム終盤を迎える状況が想定されるだけに、時間が進むにつれてわずかなチャンスを狙う相手の姿勢は脅威になる。ディフェンダーとしてのスキルはもちろん、かつて大舞台で苦い経験を味わった1人だからこそ、難しい最終予選でDF陣へ安定感をもたらす昌子の存在は頼りになるものと言えるのではないだろうか。