しかしコヨーテから得られる資源に人類はそれほど興味を示さず、歴史的にみても狩猟は積極的な利益追求のためではなく、基本的には損害を減らすための出費となっていました。
狐の毛皮とコヨーテの毛皮の需要の違いをみても明らかでしょう。
狩猟自体がが利益を生んでいた動物(マンモスなど)と狩猟自体がコストとなる動物(コヨーテ)のでは、そもそもの狩猟圧力に違いがあります。
ある意味で、人類のコヨーテに対する狩猟はその場しのぎの対処であり、管理面や計画性において不十分なものでした。
このことがコヨーテの個体数に予測不能性を与えた要因の1つになります。
また研究では他にも、人間の生活圏(都市と農地)も、コヨーテの個体数増加に寄与する場合があることが示されました。
コヨーテの個体数は十分な獲物と隠れ家を提供してくれる草原と農地で最も多いことが示されたからです。
実際、都市の規模が大きな地域ほど、コヨーテの個体数が多いことがわかりました。
この結果は、コヨーテはもともとの自然環境と人間が改変した環境の両方から利益を得ていることを示しています。
コヨーテは自然環境にあっては従来の生き方を続け、人間の生活圏にあってはそこに適合していたわけです。
必然的に人間の生活圏にコヨーテが入り込んで来ることになります。
さらに人間によるライバルの消滅もコヨーテの数に多くの影響を与えていました。
人間の入植が行われた多くの地域では、ピューマやオオカミなどコヨーテのライバルとなる肉食動物の絶滅が起きたため、コヨーテが増殖できる余地が増えたのです。
他にも森林に生息するクマの数が多いほどコヨーテの数が減少するといった負の相関関係も発見されました。
自然界においては、彼らライバルの存在が足かせになりコヨーテの増殖を抑えていたのです。
しかし人間の狩猟のせいでライバルたちが排除され、コヨーテの1人勝ち可能な状況が整ってしまったのです。