また少なからずコヨーテが人間を直接襲った例も報告されており、今もいくつかの地域ではコヨーテの狩猟が許可されています。
ですが人間による長年の狩猟にもかかわらず、コヨーテの個体数と生息域はここ100年で急激な増加を起こしており、かつてはコヨーテがめったにみられなかったアメリカ東北部でも、頻繁に目撃されるようになりました。
マンモスや二ホンオオカミの例を考えると、人間に嫌われて狩猟対象となっている動物は数を減らされ、絶滅へと至ってもおかしくありません。
しかし、どういうわけかコヨーテは繁栄の時代を歩んでいます。
そこで今回ニューハンプシャー大学の研究者たちは、コヨーテの異常な適応力の謎を解明することにしました。
「狩ると増える」理由をつきとめる
なぜコヨーテは人間の狩猟に耐えて増え続けているのか?
調査にあったっては、まずアメリカ全土に4587台のカメラを設置され、コヨーテの生息数の大規模な調査が行われました。
そして得られたデータを、環境や都市化レベル、狩猟が許可されているかどうかなど、さまざまな要因と比較し、相関関係を探し出しました。
すると驚くべきことに、コヨーテの狩猟が許可されている場所はそうでない場所よりも、コヨーテの生息数が多くなっていることが判明しました。
つまりコヨーテは「狩ると増える」状態になっていたのです。
研究者たちも「集中的なコヨーテの駆除は短期的には個体数を減らすことができますが、駆除によってコヨーテ全体の平均年齢が下がる種の若返りが進行し、繁殖率や移住率が高くなる可能性がある」と述べています。
もしコヨーテの肉や骨、毛皮がかつてのマンモスのように人類にとって必要不可欠な資源であったならば、人類の動物保護意識が高まる遥か前にコヨーテは絶滅してしまったでしょう。
(※ニホンオオカミが絶滅した背景には明治政府による高額な報奨金の存在も指摘されています)