クラブの誕生から現在に至るまで歩んできた道は平坦ではないが、社長の丸山氏は、単なる一サッカークラブとしての位置付けを良しとせず、地域コミュニティーとの交流を徹底し、サッカー教室の開催や清掃活動への参加など幅広い社会貢献活動を積極的に行うことで、ホームタウンである新宿の活性化に寄与している。

サポーターは単なるファンとしてではなく「共に地域を盛り上げる仲間」としてクラブと関わっているのだ。ホームスタジアムを持たないながらも「特例」としてJ3ライセンスを付与されたのも、こうした活動が認められた結果とも言えるだろう。


国立競技場 写真:Getty Images

試合前には「応援レクチャー」

そして11日に国立競技場で開催された鈴鹿戦。Jリーグ好きであれば、ユニフォームや場内の広告ビジョンを見て、どんなスポンサーが付いているのかも気になるもの。

クリアソン新宿の場合、胸スポンサーには新宿に本社を構える不動産販売事業のアセットリードをメインに、背中には新宿に本店がある伊勢丹百貨店のロゴが入り、他にもパートナー企業として京王百貨店や新宿髙島屋、丸井、ルミネエストといった新宿を代表するデパート、新宿に本店を構えレトロなCMが印象的な菓子メーカーの文明堂などが広告を掲出し、地域密着型クラブとして新宿の地にしっかりと根を張っていることを印象付けられる。

他クラブにはない特徴として、応援をクラブ主導で行い、応援コールの文言やタイミングまで示している。試合前には「応援レクチャー」も行われる徹底ぶりだ。

その反面、お願いベースではあるものの、相手クラブや選手に対するヤジやブーイングを事実上、禁止している(当然、自クラブに対しても)。実際、サポーター席には「観戦ルール」として掲示され、違反したものには退席を求め、以降のホームゲームへの入場を禁止する旨も明記され、例え違反者がシーズンチケットホルダーであっても、返金にも応じないという厳しいものだ。