英国の王位継承法は、2013年に改正され、男子優先の長子相続(女王は可能だが、弟がいればそちらを優先)から男女平等の長子相続となった。

ただし、2011年10月28日以降に生まれた王族のみに適用される。ウィリアム王子の子は、長男のジョージ王子、長女のシャルロット王女、次男のルイ王子と生まれた順だが、チャールズ国王の兄弟では、2番目のアン王女およびその子孫より3番目のアンドリュー王子、4番目のエドワード王子およびその子孫が優先順位を保持している。

オランダの王位継承法も1983年に改正され、新しく生まれる子は長子優先になった。だが、当時のベアトリクス女王の長子はウィレム・アレクサンダー現国王であり、その子は王女3人だけなので、新原則が故に継承順位が変わることはなかった。

スウェーデンではカール16世グスタフ王の子として、長女ヴィクトリア王女に続き、カール・フィリップ王子が生まれ、国内での激しい議論の末、国王の反対を押し切り、ヴィクトリア王女が将来の女王とされた。

このスウェーデン王室のケースが、すでに生まれた子に適用した順位変更の唯一の例だ。とはいえ、順位変更は物心つくまでに行うべきだということで、カール・フィリップ王子が5月に誕生後、11月に法律改正、翌年1月に発効した。

したがって、すでに成年に達している悠仁さまの前例にはなるまい。

スペインでは伝統的に国王の子のなかで男子優先だが、女子だけなら女王となることになっており、現在も同じだ。現国王のフェリペ6世には2人の王女しかいないので、長女のレオノール王女が皇嗣であり、女性ながら職業軍人としての訓練を受け王位継承に備えている。

スペインは、2度も王制が倒れて共和国になるなど、何かと不安定だ。とくに、19世紀において、国王には王女しかいなかったため、弟でなく自身の王女に継承させたところ、内乱(カルリスタ戦争)が起き、王制転覆につながった苦い思い出がある。