ウクライナのゼレンスキー大統領が、「peace through strength(強さによる平和)」をトランプ次期米国大統領が語っているのを強調している。ウクライナは、トランプ氏が唱える早期の停戦を受け入れない、という主張と合わせて行っている。どうやら、アメリカはロシアを駆逐する力を見せるべきだ、ウクライナがその力を発揮するまで戦争継続を支援するべきだ、という意味で、言っているらしい。ゼレンスキー大統領は、冷戦の終焉を導いたロナルド・レーガン氏も参照して、強いアメリカを取り戻すべきだと、と主張している。

率直に言って、違和感が残る。レーガン氏は、ソ連の崩壊を導いたというイメージが強いだけに、ゼレンスキー大統領のお好みだろう。確かに二期に渡る大軍拡を主導して、「強さによる平和」を体現した。だがそのレーガン氏は、実際には自らの任期中にアメリカに戦争をさせなかった人物だ。

ゼレンスキー大統領インスタグラムより

1982年にレバノンの平和維持軍にアメリカ海軍・海兵隊を派遣したが、翌年の自爆トラック攻撃で241人の海兵隊員が死亡すると、翌1984年にはレバノンから海兵隊を撤退させた。