ウクライナのゼレンスキー大統領が、「peace through strength(強さによる平和)」をトランプ次期米国大統領が語っているのを強調している。ウクライナは、トランプ氏が唱える早期の停戦を受け入れない、という主張と合わせて行っている。どうやら、アメリカはロシアを駆逐する力を見せるべきだ、ウクライナがその力を発揮するまで戦争継続を支援するべきだ、という意味で、言っているらしい。ゼレンスキー大統領は、冷戦の終焉を導いたロナルド・レーガン氏も参照して、強いアメリカを取り戻すべきだと、と主張している。
For us in Ukraine, and all across Europe, it has always been crucial to hear the words of the then 45th President of the United States about “peace through strength.”
When this principle becomes the policy of the 47th President, both America and the entire world will undoubtedly… pic.twitter.com/qVWkLLejwd
— Volodymyr Zelenskyy / Володимир Зеленський (@ZelenskyyUa) November 6, 2024
率直に言って、違和感が残る。レーガン氏は、ソ連の崩壊を導いたというイメージが強いだけに、ゼレンスキー大統領のお好みだろう。確かに二期に渡る大軍拡を主導して、「強さによる平和」を体現した。だがそのレーガン氏は、実際には自らの任期中にアメリカに戦争をさせなかった人物だ。
1982年にレバノンの平和維持軍にアメリカ海軍・海兵隊を派遣したが、翌年の自爆トラック攻撃で241人の海兵隊員が死亡すると、翌1984年にはレバノンから海兵隊を撤退させた。