例えば、飲み口が狭く胴体部分が広がっている「チューリップグラス」、取っ手の付いた広口の「ビールジョッキ」、背が高く根本がくびれたような「ヴァイツェングラス」、飲み口が広くて下に行くほど狭くなっていく「パイントグラス」などです。
ペレグリーニ氏は、これらのグラスの表面積と体積の比率を最適化し、より熱伝導を遅くする形状を探しました。
ちなみに、今回の研究では、「グラスの底部が断熱されており、熱移動は上部と側面からのみ発生する」と想定しています。
では、この実験で明らかになった「ビールを冷たく保つのに最適な形状」とは何でしょうか。
ビールを冷たいまま飲むための「最適なグラスの形状」が判明
分析の結果、ペレグリーニ氏は、飲み口が広く、底に向かって徐々に狭くなるグラスの形が冷たさを保つのに最適であることを発見しました。
この結果は、飲み進めるうちにビールの量が減っていくことも考慮されています。
飲み口ではビールと空気が接しており、そこから熱が移動しやすくなります。
しかし、底に向かって狭くなる形状であれば、飲み進めるうちに空気と接するビールの表面積が減少し、ぬるくなる速度が遅くなります。
多くの人はビールが到着するとすぐにゴクゴクと飲み始め、時間が経つにつれて飲むペースが落ちていきます。
だからこそ、そのような後半で空気と接するビールの表面積が減少するグラス形状であれば、最後まで冷たさを保ちやすくなるのです。
ヴァイツェングラス、ピルスナーグラスなどは、この理想的な形状に近いものです。
パイントグラスも理想的な形に近いものの、直線的で変化が小さいので、もう少し飲み口が広く、底が狭い方が良いと言えます。