また自国第一主義のトランプは親中だと言う誤った解釈をしている人もいるが、これは大きな間違い。トランプは親中などではない。中国は相手にしていないというのが本当だろう。

アメリカの対中戦略が変化したのは、オバマ元大統領の頃からと言われている。中国のやりたい放題にやらせていたら、いつの間にかウォルマートやターゲットの商品が中国製品に埋め尽くされていた。アメリカの製造業の危機を憂えたオバマ元大統領が、徐々に対中強硬戦略に切り替えたと言われている。

そしてついに第一次トランプ政権の時、かの有名な通商法301条に基づき、追加関税を実施した。

301条対中追加関税の見直し結果と今後の展望(米国)

トランプは大統領就任後、更に追加関税を設けると発表したバイデン政権の政策を変えるとは一言も言ってない。それどころが、同盟国日本における中国脅威論を米軍に置き換え、太平洋諸国の平和と安定の意味から、軍備増強を続ける中国に対して、太平洋における米軍を増強すると共に、経済的な中国への依存度を抑えると明言している。

トランプの外交姿勢は実にシンプルで、余計な喧嘩はしないが、いつ喧嘩になってもいいような備えはしておくという考え方だ。

中国への依存度を下げるとなると、台湾における半導体技術がリスクになる。だから、九州と北海道に最先端の半導体工場が出来たことは、大きな意味があるし、トランプがこれを大事にしないわけがない。何より、最先端の半導体は、世界のごく限られた国でしか生産することができない。それが最強の同盟国である日本に出来たことは、非常に大きな意味を持つ。

実務重視のトランプは、台湾への依存度が下がっても、同盟国日本の半導体はなんとしても守ろうとするだろう。そうしなければ、アメリカ経済も困るからだ。ましてやアメリカの軍事力を重要視するトランプにとって、戦略物資の半導体技術は基幹どころか最重要品目。その意味で、中国を牽制する意味でも同盟国の半導体工場は守らなければならない。