電子書籍のインターネット配信サービス「マンガ図書館Z」が11月5日、公式サイトにて「お知らせ」を更新。11月26日12時をもって、サイトを停止することを発表しました。

 「マンガ図書館Z」は、漫画家・赤松健さんが2010年に立ち上げた「Jコミ」を前身とするサービス。既に絶版となった漫画を作家の許諾を得たうえで電子書籍化、無料公開し、その作者に広告収益を還元するという事業内容で、違法アップロードサイトとは全く異なる、作家の利益を守る体制づくりに取り組んでいました。

 そんな「マンガ図書館Z」が、今回サービス停止せざるを得なくなった背景としては、決済サービスの契約を10月末ですべて解約せざるを得なくなったことが大きな理由であるもよう。

 10月29日に公開されたお知らせによると、同社が加盟店契約している決済代行会社から「アダルトコンテンツの取り扱い」を理由として、10月末での契約解除の通達があったとのこと。各社と協議を重ねたものの、この通達を覆すことが出来ず、プレミアム会員登録処理が10月末をもって停止していました。

 この事態を受け、正式なサービス停止日を知らせたのが、今回の発表。「この度、今後の作家様への収益還元、及びサイト運営が困難であると判断し、マンガ図書館Zのサイトを停止させていただくことになりました」と報告し、「マンガ図書館Zは、前身の『Jコミ』も含めますと14年近くの歴史になります。 約14年にわたり、ご利用頂いたユーザー様、作家様には心より御礼申し上げます」と、感謝を述べました。

 一方、マンガ図書館Zを運営する「株式会社Jコミックテラス」は、他社ストアに作品を提供する「卸事業」も手掛けており、今後はこちらに注力し継続することで、引き続き作家への還元を図っていくとのこと。

 また、サイトはあくまで”停止”であり、「今後も関係各所と検討を重ね、サイト再始動の道も探ってまいります」と宣言。「まだ細い道筋でしかありませんが、非営利団体への移行やクラウドファンディングなども検討してまいります」と今後の方針を一部明らかにしました。

 お知らせの最後は「再び皆様のもとにマンガをお届けできる日が来ることを願ってやみません。作家様、ユーザの皆様、そして支援及びご協力頂いた皆様、14年間本当にありがとうございました」と、改めて感謝の言葉で締めくくられています。

(山口弘剛)

提供元・おたくま経済新聞

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