- 実質の成長度合い
実質値は成長率で見た方がより実感値に近い数値として比較できると思います。
ここでは、1990年と2010年を基準とした実質値の成長率を倍率で確認してみましょう。
図6は自国通貨建ての現実個別消費(1人あたり)を、1990年を基準(1.0)とした倍率で表現したグラフです。
基準年に対する数量的な成長具合を比較する事になりますね。
日本は概ねフランスと同じくらいの水準で変化していて、主要先進国の中ではやや低い水準です。
1990年に対して2021年では1.3倍強の成長度合いとなります。
アメリカが1.7倍、OECDの平均値やイギリスで1.6倍と比べるとやや低い状況ですね。
リーマンショックよりも、コロナ禍による影響度合いの方が大きい事も確認できます。
図7が2010年を基準とした倍率のグラフです。
2010年を基準とすると、日本はフランスよりも成長率が高い事になりますね。より豊かになっていると実感できる度合が高いといった事が数値化されていると見れば良いと思います。
ただし、OECDの平均値としてはさらに高い水準ですので、先進国の中では成長度合いが低い事は確かですね。
- 現実個別消費の実質値の特徴
今回は、現実個別消費(1人あたり)の実質値についてご紹介しました。
実質値と言っても基準年で名目値と一致しますし、この基準年は時が経過すればより近年に変更されます。長期で比較する指標としてはあまり参考にならないかもしれませんね。
それよりは、基準年に対する成長度合いとして見た方が、より個々の国の体感に近い指標と言えるかもしれません。
実質成長率では、日本は先進国としてはやや低いながらも、プラス成長です。フランスと同程度か近年ではやや上回る程度という事になります。
家計の最終消費支出としては停滞していますが、政府の個別消費支出が増えていますので、現実個別消費としてはプラス傾向が強まりますね。
皆さんはどのように考えますか?
編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2024年4月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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