最初からそう言って欲しい。
石丸市長「都知事選出馬記者会見を撮影した動画の転載を問題視」なるほど、陳述の内容については指摘の通りだと思いました。
一方で、陳述を撮影した動画には著作権があるように考えるのですが、どなたか詳しい方がいらっしゃいませんか?実際、私は話した内容を報じるなと言った訳ではなく、動画の扱いを問題としました。…
— 石丸伸二(安芸高田市長) (@shinji_ishimaru) May 20, 2024
安芸高田市の石丸伸二市長が東京都知事選に出馬を表明する記者会見を開いたのち、「許可なく会見の動画をフルでYouTubeにアップした事業者がありました。すでに削除されていますが、その動画の転載も同様に認めません」とXで投稿したことで、著作権法40条の話が展開されましたが、その後、「話した内容を報じるなということではなく、記者会見動画の転載を問題とした」とする投稿がありました。
ここからは「石丸伸二のYouTube公式チャンネルにUPされた動画をそのまますべて転載した」と読めます。
ならばなぜ最初の投稿のような表現になったのか不思議ですが、本稿ではこの場合についてどう考え得るのかに触れていきます。
なお、石丸伸二公式チャンネルでは「当チャンネルの動画を利用した切り抜き・まとめ動画の作成は許容します。ただし、動画の転載に当たる行為は禁止します」とあり、YouTubeのガイドラインでも全部転載行為は禁止されている。安芸高田市議会の公式YouTubeチャンネルでも「まとめ・切り抜き動画に関して許容しています」という記載がある。
著作権法40条「演説等に係る著作権とその動画は別」が行政解釈か令和4年2月4日の文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第3回)の資料には、国会審議中継動画の扱いと著作権法40条の関係についての解釈が書かれています。
国会審議における発言等については、著作権法第40条第1項の「公開して行われた政治上の演説又は陳述」に該当する場合は、同一の著作者のものを編集して利用する場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。~中略~
一方で、これらの演説又は陳述を収録した映像の利用については、当該演説等に係る著作権とは別に映像の著作権について考慮する必要があるところ、当該映像の著作権については同条の権利制限規定の対象外と考えられるため、その利用に当たっては原則として当該映像に係る著作権者の許諾が必要となる。
もっとも、第32条第1項の要件を満たす限度においては、許諾なく「引用」して利用することは可能である。
「政治上の演説又は陳述」そのものと、「政治上の演説又は陳述を記録した動画」の著作権は別で、後者は法40条の規律の話ではない、ということが書かれています。
確かに、撮影のための機材を揃えて現地で陣取りをし、撮影行為をした後に記録したものを動画サイトに合わせた形式にして通信回線を使ってHP上にアップロードするという労力がそこには存在しており、動画の転載はそのコストを丸々スキップできてしまうものですから、基本的にこの扱いは正当でしょう。